「苦熱行」 王轂(おうこく) [IMAGE]
祝融南來鞭火龍 祝融 南より来りて火龍に鞭打ち
火旗焰焰燒天紅 火旗焔焔として天を焼いて紅なり
日輪當午凝不去 日輪 午にあたりて凝して去らず
萬國如在洪爐中 万国 洪爐の中に在るが如し
五嶽翠乾雲彩滅 五岳 翠乾きて雲彩は滅し
陽侯海底愁波竭 陽侯 海底に波の竭するを愁う
何當一夕金風發 いつかまさに一夕金風を発し
爲我掃卻天下熱 我が為に天下の熱を掃却すべき
祝融が南方より到来し、火龍に鞭を打つ。火の旗は熱気も盛んに燃え輝き、天を紅蓮に焼いている。
太陽は丁度真上にあり、じっと留まったまま傾く気配もない。国中がまるで溶鉱炉の中にあるようだ。
五岳の緑は乾ききり、雲の彩りも消えてしまった。陽侯も海底で、波が渇き尽きるのを愁えている。
いつになれば夕べに秋風が吹き始めて、我々のために天下の熱を掃いのけてくれるのだろうか。
祝融(中国神話の神:獣面人身で、火と南方を司る。炎帝の配下的な存在。
/ 炎帝:火、及び季節の夏を司る神。太陽。)
五嶽(中国の聖山:東嶽=泰山[山東省]・西嶽=華山[陝西省]・南嶽=霍山[安徽省]
・北嶽=恒山[山西省]・中嶽=嵩山[河南省])
陽侯(波浪神:古代の神話で水波の神とされる。)
金風(秋風:金は五行で秋にあたる。)
王轂(おうこく:中国の唐代の詩人)
暦の上ではもう秋ですが、まだまだ毎日暑い日が続いています。
夏の盛りにアップするために描いたイラスト記事でしたが、諸事情で時機を逸してしまいました。
でも、今日はこちらはジリジリと肌を刺すほどの陽射しなので、この詩の内容にも共感でき、載せることにしました。
(冷房の効いた部屋でアイスコーヒーなど飲みながら、「送信」;)
『昔の人々は、厳しい暑さが続く中では大へんだっただろうなぁ』
焼き尽くされるが如き大地の様子を思い浮かべながら。。。。