<花に想う>サザンカ~「山茶花」は「椿」だった? [Flower&My Garden]
サザンカが咲きました。
慌ただしい毎日を過ごしているうちに、ゆっくりと愛でることなく見ごろは過ぎたようです。
まだ咲き残っている花だけでもと思い、1週間前(12月2日)に写真に撮りました。
門の横に1本だけ植えてあります
サザンカ:ツバキ科ツバキ属 の(常緑小高木)
ツバキとよく似ていますが、開花期が異なります。
ツバキは冬の終わりから春にかけて。サザンカは秋も深まる頃から冬にかけてです。
また、花の咲き方、散り方の違いでも見分けられます。
─花の咲き方と散り方─
(ツバキ) 花弁の元が繋がっていて筒型に咲き、花が終わる時には丸ごと落花する。
(サザンカ)花弁が離れているので平らに開いて咲き、一枚一枚はらはらと散る。
「武家屋敷には椿は植えない。」
(落花の様子が、切腹後の介錯された首を、また戦で揚げられる首級を思わせる、などから縁起が悪いとの意で。)
との言い伝えから、散り方の違いで見分けるのは、比較的よく知られていることですけどね。
逆光ですが;
初冬の庭に彩りを添えてくれるので、毎年開花が楽しみなサザンカです^^
☆その名を表す文字の由来は?☆
─ サザンカとチャノキ ─
サザンカは、漢字で「山茶花」と記します。
「山」の「茶」の「花」?
ここで、http://blog.so-net.ne.jp/pakipakiaugustmoon/2006-10-14 で取り上げた「チャノキ(茶の木)」のことが思い出されました。
チャノキもツバキ科でしたね。
飲料としての「茶」も「チャノキ」も中国からの輸入品であり(「あ!飲むための『お茶』の葉の後から栽培用の種が入って来たから、わざわざ「チャノキ(茶の木)」と呼ばれたのか!」と急に納得したりして・・・;)、日本では始めから栽培目的で植えられているからか、原産地域の中国やインド、東南アジアに習い丘陵地にあるのが普通です。
一方サザンカは、日本にも主に山中に自生していました。
両者は同じツバキ科ということから分かるように、見た目も共通している点が多くあります。
樹の高さにしても、チャノキは栽培目的で低木にまとめられていますが、放って置けば数メートルのかなりの高さになるそう。そうなると、益々似ていますよね。
だから、「山」の「茶」の「木」なのですネ^^
。。。。と、そうまとめて終わりたいところなのですが、違っていました。
「山茶花」との表記は中国では、「山茶(shancha)」の「花(hua)」(中国語読みの声調符号を付けていませんが、要するに記せば「シャンチャーホワ」。)との意で、「山茶」とは日本で言うところのツバキを指すそうです。
これはとてもよく解ります。だって、サザンカよりも、チャノキとツバキの方が花の咲き方などがそっくりですから。
そして中国語辞典によれば、「山茶花」はツバキ科の花木の総称と記されていました。
要するに、総称を固有名詞と取り違えてサザンカを「山茶花」とし、「椿」の漢字をツバキにあてて誤用した、ということらしいのです。
─ サザンカとツバキとチャンチン ─
では、我が国では、サザンカとツバキが混同されていたのか?(蜉蝣と蜻蛉の例もあるし。)
だけど(そこでもう終わりにしようよ~; との心の声を振り切って、更に突き進んでしまう私;)、何かヘンなのですよねぇ;
では中国において「椿」という漢字は、日本において言うところの何の樹木の名称にあてていたのか、という疑問が残ります。
そこで漢和辞典で「椿(chun)」の文字を調べたところ、第一義(原義)に『ちゃんちん(香椿)。せんだん科の落葉高木。・・・』と出ていました。
第二義は『太古にあったという大木の名。』(これは荘子の『逍遥遊』中に見える、八千年を一つの春または秋とし、長寿万年の意に例える大木のこと。)
第三義に『長寿のたとえ。』第四義に『父をいう。』とのこと。
そうして後の方に『わが国で、その親字固有の意味とは異なった意味・用法』として、第一義に『つばき。つばき科の常緑高木。・・・』続いて第二義に『ちん。変わったこと。不意の出来事。=珍 』とあります。
やっぱり、この文字「椿」は、元々ツバキのことではなかったと分かりました。
次に中国語辞典で「香椿(xiangchun)」(シァンチュン)を調べてみると、『椿の一種。若芽は食用になる』となっていました。
再び???・・・・ なんでツバキの一種かなぁ~
で、シァンチュンが転訛したところの「チャンチン」を樹木事典で調べてみたら、やはり『せんだん科の落葉高木』とあり、更に『若葉が赤く、次第に薄桃色~白~緑葉に変化し、秋には紅葉するもので、新芽は香りが強く食用になるが花は臭い』ものらしいのです。
なんじゃ、そりゃぁw
なんて珍妙な樹なのよ~
と思っていたら、別名を「トウヘンボク(唐変木)」と言うことを知り、もう一人で笑っちゃいましたw
と、そこで、「唐変木」は「変わっている(人)。まぬけなこと(人)。」の意味として遣われていますが、漢字だけを見ると「唐(中国)」の「変わった」「木」となることに気づき、「ア~、もうこれは絶対『椿=チャンチン』が本来だったんだろうなぁ」と考えました。
何より、子どもの頃から不思議だった、大事件(珍しい出来事)や珍しい話を表す熟語「椿事」や「椿説」。なんで特に珍しいとも言えない花木の「椿」の漢字が遣われているのか、やっとこの年齢になって思い当たり、嬉しくなりました^^;
ところが喜びも束の間、新たなる疑問が;
では、日本人にとり、珍しくもないツバキを表記する漢字「椿」に、「変わったこと。珍しいこと。」なる意味をもたせた、ということになるのでしょうか・・・?
それはツバキではなくチャンチンのことではないの?
でも我が国においてのみの意味として、となっているし。。。
間違ってあてられたと考えられている「椿」の文字に、元の意味から派生発展したと思われる意味が含まれている。
ちょっと不思議だと思いませんか?
その辺のこと、いろいろ調べて考えをまとめてあるのですが、長くなるのでまた後日と致します。
リュウノヒゲ:上部サザンカの写真と同日撮影
今日(9日)も、まだ実は割れていません。
ちゃんと、青い青いあの種と会えるのでしょうか~;
リュウノヒゲの記事に「追記」を加えることができるか、だんだん心配に・・・・
すごいですね。
私はBlogで皆さんのところを回るようになって、サザンカなるものを意識するようになりました。
前は、真面目に「なんで椿が咲いてるの?」と思ってしまった大ばか者です(笑)
by (2006-12-10 03:44)
ツバキとサザンカは、開花期が異なっていたのかぁ。
どうりで、まだツバキという名前を聞かないはずですね^^
そんなことすら、今頃知ったシンナツです^^;
by (2006-12-10 08:31)
いやはや、さすがパキちゃんさん!^^
「唐変木」の事も、なるほどなるほどと、ブログを読ませていただきながら、一人うなずいていました(笑)
次も、楽しみにしています♪
by (2006-12-10 08:58)
綺麗な色ですね。
花の名前は聞きますが、
木に咲いてるところは見たことがなかったです。
似ている花で、寒木瓜って花もありましたよね????(笑)
by (2006-12-10 09:22)
え!「唐変木」・・これから行ってみます。(o^^o)
by (2006-12-10 11:05)
半月ほど前ですが、幼稚園への通園路に、サザンカの絨毯ができた時期があり、娘が夢中で拾って、私の仕事に遅刻しそうになったことがありました(^^;)
パキちゃんのblog、勉強になります!
by eritaro (2006-12-10 16:37)
ここまで読んで 少々こんがらがっています。^^;
漢和辞典 中国語辞典 樹木事典の三者に集っていただいて 話し合い 誤解を解いていただかないと…。(歴史問題とはいいませんが…)
立派な山茶花の木ですねー。懐かしいです。
by 畑の帽子 (2006-12-10 17:13)
私は、ハラハラ散る山茶花の方が好みです。
それにしても山茶花から唐変木へ・・・ふぅ~さすがパキちゃんさんです^^
by タックン (2006-12-10 22:17)
>ゆきさん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
あははw いえいえ、ぱっと見にはよく似ています^^
唱歌「たき火」(でしたっけ?;)で有名な花の名前ですよネ。
この時季庭にはだんだん華やかな色が無くなり、ああこれで今年も終わりだなぁ、と^^
by パキちゃん (2006-12-11 17:30)
>シンナツさん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
ツバキの中でも、カンツバキ(寒椿)は11月の終わり頃から咲きます。
サザンカは綺麗だけど掃除が大へん、と趣の無いイメージが先行してしまっている私;
(1本だけなのに...) 楽しませて貰って文句言うのは恩知らずなので、記事にしました^^
by パキちゃん (2006-12-11 18:13)
>ki_no_koさん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
チャンチンですねw この樹には驚きました。 新緑の季節に、ピンクの葉っぱ!
苗木を通信販売しているようなので、思わず買おうかと考えましたが、けっこう大きく
育つようなので諦めました; 楽しんで頂けて、私も嬉しいです^^
by パキちゃん (2006-12-11 18:20)
>風子さん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
サザンカの自生分布の北限は、本州は山口県までで、元々暖かい地方の樹木だそうですから、北国にお住まいの方達にはあまり馴染みがないようですね。
寒木瓜はバラ科で、花の開き方がちと違うけど。。。でも樹に咲く花で似ています!w
by パキちゃん (2006-12-11 18:55)
>にの♪さん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
どちらに出向かれたのか、と思いましたw(^◇^; ・・・検索ですよね?
珍しい樹だと思いましたが、意外にも身近な家具などに加工されているそうです。
サザンカを調べていてチャンチンを知ったのは、ちょっと嬉しい拾い物って感じです^^
by パキちゃん (2006-12-11 21:39)
>eritaroさん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
サザンカの絨毯、綺麗だったでしょうネ。お嬢さんの夢中なご様子が目に浮かびます。
eritaroさん、ご自分の時間を気になさりながらもちゃんとお嬢さんの時間も大切になさって、優しいお母様ですね^^ 私も掃いて捨てるのもったいなくて、そのままにしがちです~;
by パキちゃん (2006-12-11 22:01)
>畑の帽子さん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
山茶花に、きっと素敵な思い出がお有りなのですね?^^
この記事も、(いつものように、どうでもよい)思考がテーマから勝手に彷徨い出して行き、
宙に霧散していきそうです。何とかオチをつけなくては。 近いうちにw
by パキちゃん (2006-12-11 22:17)
>タックンさん いつもご訪問頂きましてありがとうございます^^
これがですね、(と身を乗り出したりしてw)いろいろ調べていると、なかなか奥が深くて面白いのですよ。雑感ジャンルとは言え、けっこう時間掛けて下書きしています^^
サザンカは、今日も時折風が吹きつけるたび、光を受けながらはらはらと散っていました。
by パキちゃん (2006-12-11 22:37)
>g_g さん nice!をありがとうございます^^
by パキちゃん (2006-12-16 02:02)
いやあ、大昔にもわたしのような、ずぼらでいい加減な人間が存在したことが解って、それで、こんなに混乱しているのかと思うと、なんだか愉快でした。
by スー (2006-12-22 03:55)
>スーさん nice!&コメントをありがとうございます^^
まずはこちらの記事にても返事が遅れましたこと、お詫び致します m(_ _)m
それで「名まえ」についてですが・・・;^^
私は、大昔のように情報網が未発達で識字率も無きに等しい時代に、
ある程度の地域ごとにであっても、ものの名まえが人々の共通認識として存在していたということに「スゴイなぁー!」と思えて来ました。(サザンカ、ツバキに限らずの話ですが。)
クチコミの威力って、昔から強力だったんだなぁ、とw
by パキちゃん (2006-12-31 09:04)