＜花に想う＞小菊～別名に込められた願い

　このところ日が暮れるのが早くなったと思ったら、もう１１月でした。
　どうしてこんなに、日々が過ぎ去るのは早いのでしょう。

　「絵とき　ゾウの時間とネズミの時間 」 （福音館書店：本川 達雄　著）という絵本があります。これは、同じ著者が著した「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」を、子どもにもわかりやすく絵本仕立てにしたものです。
　ｳﾁの娘が小さい頃に購入して、一緒に読みました。
　子どもに読み聞かせているうちに自分の思考の中にはまり込み、いつの間にか自分のペースでページをめくっては子どもに「まぁーだなの！」と言われて・・・
　読み聞かせの時間を、すっかり「自分の時間」にしてしまいました；＾＾

　大きな動物も小さな動物も、虫たちも、花たちも、一見寿命はいろいろですが、みんな自分に決められた時間を生きているのですね。
　そして、生物学的な意味ではないですけど・・・夕暮れ間近の庭に立ち、私は今日一日、どんな「私の時間」を生きたのかなぁ。。。なんて、今を盛りと咲く小菊たちを眺めながら思ったりしました。

　菊の品種は、五千種以上にのぼるそうです。
　別名は、オキナグサ（翁草）・コガネグサ（黄金草）・モモヨグサ（百世草）・ヨワイグサ（齢草）。
　花の大きさによって大菊・中菊・小菊と分類され、更に花期により、春菊・夏菊･秋菊・冬菊に分けられている、とのことです。
　小菊（山菊）も種類が多く、変化も多彩で色もいろいろです。


　では、よく見掛ける小菊しかないですが、その写真とともに、別名についての簡単な説明（注：おそらく～であろう、との自説ですけど；）をご紹介します。
　それぞれの写真の小菊固有の別名、と言う訳ではありませんので。

　
・翁草
　　植物学上での名称では、全く別の（希少な）キンポウゲ科の多年草を指しますが、「松」とともに「菊」にもこの別称があります。長寿の意味をもたせて付けられたのでしょう。

　
・黄金草
　　黄金は黄色や山吹色と同意であり、菊の代表的な色ということで、一輪咲きならその豪華さを、小菊ならばその咲きこぼれる様から豊かさと栄えを称えたように思われます。

　
・百世草
　　百代とも。万葉の時代より菊の別名として用いられ、多くの年月、つまり開花期が長いことや、丈夫で長年に渡り季節が来れば花咲く、などから付けられたものでしょうか。

　　
・齢草
　　「齢」とは、もともと「世這い」の音と意味から、この世に生きている間の長さや歳を表す文字です。齢を延べる草、つまりは、やはり年月を重ねての長命を意味しています。


　いかがでしたか？別名は御めでたい名前ばかりでしたネ。
　それから十六弁の菊花の紋は、言わずと知れた我が国の象徴、皇室の紋章です。

　菊そのものから連想されて来た、「長寿、栄えを百世、幾久しく」との意をもつ言葉をまたの名に冠し、人々の願いを古（いにしえ）より今へ伝えて、菊たちは今日も咲いているように思えて来ませんか？＾＾



　

  

タグ：小菊 菊の別名 花に想う

コメント 22

オキナグサ（翁草）・コガネグサ（黄金草）・モモヨグサ（百世草）・ヨワイグサ（齢草）。なるほどー。　そう思ってみるとそんな風に感じられてきました。
小菊は好きです。幼少時は華やかな洋花を特別扱いしてきましたが、だんだん菊、特に小菊が好きになってきました。　
花より団子の私はお茶用の菊も植えたりしているんですけどね。＾＾；
by 畑の帽子 (2006-11-01 21:56) 

みんなオメデタイ名前が付けられているのですね～
そうでしたねぇ　菊は皇室の紋章でした。改めて、じっくりと見つめてしまいました＾＾　菊は、昔から親しまれてきた花なのですね。
by タックン (2006-11-01 22:15) 

＞畑の帽子さん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
私もここ数年、小菊に惹かれるようになって来ました。
大輪の菊は和風なイメージが強いのですが、小菊は和洋両方の趣があります。
鑑賞用、食用、お茶用にも　と、菊は昔から私達と関わりの深い花だったのですネ＾＾
by パキちゃん (2006-11-02 09:24) 

＞タックンさん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
花というか植物の別名には、意味を持たせた名前が多いですね。
学術名よりも、親しみが増す名が多いように思います。
小菊は、同一種間の交雑による色の変化が楽しみで、変わるままに任せています＾＾
by パキちゃん (2006-11-02 09:46) 

菊は昔より色んな願いを込めて品種も改良し、種類も増えて今に至ってるんでしょうね。そう思いながら見ていると、なんか昔が見えるようで、貴重品のようにさえ思えます。我が家でもいろんな種類の菊が咲いてますが、皆・・菊です（笑
by お散歩爺 (2006-11-02 17:35) 

晩秋に菊好きな花達ですが、あまりにも品種がありすぎ
細かくて言えません（×_×）
by (2006-11-02 18:16) 

菊ってさ、子供の頃はあまり興味が無かったんだけど、大人になってから、菊の美しさって分かるようになってくるものなのですよねー。
日本の美ですね。桜の美しさとは違った気高さを感じます。
by (2006-11-02 22:19) 

＞旅爺さん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
別名が多いのは、それだけ長い時代を経て人々に愛されて来たということでしょうか。
　　>皆・・菊　　我が家の菊もかわいい「皆菊」「只菊」ですｗ
旅爺さんのお宅のお庭も、秋真っ盛りでしょうね＾＾
by パキちゃん (2006-11-02 22:22) 

＞g_g さん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
私は今回初めて五千種もあると知り、驚きました；＾＾
鑑賞用の一輪咲きの大輪も素晴らしいですが、身近に楽しめる小菊がいいなぁ、
と今のところ思っています。（手が掛からない、というところが特にｗ）
by パキちゃん (2006-11-02 23:02) 

＞ゆきさん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
不思議とそのようなかたが多いですね。　かく言う私もそうなのですが＾＾
ゆきさんの仰るように、それぞれ個性の異なる美で私達を楽しませてくれる菊と桜。
ともに日本の国花だそうで、両方を選んだその感性もまた日本人らしいかと思いました＾＾
by パキちゃん (2006-11-02 23:40) 

小菊をみると、祖母を思い出します。
名前が「キク」で、小菊が大好きな人でした＾＾
そして私は、そんな祖母が大好きでした。
小菊は、種類が多いと聞いていましたが、五千種以上もあるとは、驚きです。
私は、何でも「小菊」ですませてます・・・＾＾；
by (2006-11-03 09:08) 

＞ki_no_koさん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
菊の花は、ki_no_koさんとお祖母様の面影とを再会させてくれる使者なのですネ＾＾
五千種以上というのは大・中・小合わせてのことのようです。それにしてもｽｺﾞｲです。
ｳﾁの菊はしょっちゅう変化するため、名を覚えても意味無いような～；
by パキちゃん (2006-11-03 12:08) 

菊の品種は、五千種以上もあるのですかぁ。　凄いですね。
御めでたい名前ばかりって日本人らしいですね。
うちの菊も、ぼちぼち咲き出しました＾＾
by (2006-11-04 10:03) 

＞シンナツさん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
中国の古典などにも、新種の菊を咲かせる文化の流行がうかがえる逸話があります。
そのように人の手を借りながら、増えに増えたのでしょうね。
機会があれば、シンナツさん宅の菊も是非またご紹介下さいネ＾＾
by パキちゃん (2006-11-04 11:49) 

菊の花の香りが好きです。
きつくもなく、甘くもなく。。
菊は縁起の良い花なんですね。
御霊にささげたり、菩提寺にあげたりしますものね。
by (2006-11-05 16:40) 

＞風子さん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
私の実家でもよく仏壇に供花してありますので、子どもの頃の「菊」のｲﾒｰｼﾞは
「仏壇」と直結していました；
お見舞いの花束にもタブーとされていますが、別名を見るといい感じですよね＾＾
by パキちゃん (2006-11-06 00:51) 

5千種以上もあるのですか！　菊って身近なようですが知らないことばかりでした。そうそう、国の象徴ですもんね＾＾　これからももっと敬意をもって（菊だけでなくすべての生きとし生けるものに）接していきます。
by たらこ太郎７ (2006-11-07 13:34) 

ゾウの時間とネズミの時間読んだことが
あります。
人間中心の物差しから、動物の視点で書かれていれ
おもしろかったです。
生き物ってあらためて　すごいなと思いました。
by iruka (2006-11-07 21:06) 

＞たらこ太郎７さん　　いつもご訪問頂きましてありがとうございます＾＾
身近過ぎて、あまり特別な関心をもって見ていなかったように、私も思います。
キク科の花は種類が多い、とは感じていましたが、五千種以上にはﾋﾞｯｸﾘですネ；＾＾
ｳﾁの菊は、購入した切り花を土に挿して殖やしたものが多いです。丈夫さに、敬意！＾＾
by パキちゃん (2006-11-08 08:48) 

＞iruka さん　　初めまして＾＾　nice!&コメントをありがとうございます
この本、お読みになられたのですね。
発想の転換というか、目からウロコが落ちるというか、そのような読後感ですよネ。
生き物、命の、人智の及ばぬ部分も示してくれており、実に興味深かったです。
近々、iruka さんのブログにもお邪魔させて頂きますので、どうぞよろしくお願い致します＾＾
by パキちゃん (2006-11-08 09:03) 

＞kinngyo さん　　nice!をありがとうございます＾＾
by パキちゃん (2006-12-01 05:24) 

＞春分 さん　　nice!をありがとうございます＾＾
by パキちゃん (2006-12-11 08:54)