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「好きなことを伸ばす」ということ [子育て・家庭]

 子どもを育てる上で、親は皆「この子がやりたいこと、得意なこと(能力)を伸ばしてあげたい」と、そう考えます。(私達夫婦もそうです。)
 だから、「この子はいったい何が好きで得意なのか」理解しようと努力しますし、様々なおけいこや経験をさせてみたりします。 ウチも何かと「やりたいこと」が多い子どもなので、事情が許す限り、いろいろ本人が納得いくまでやらせてみたりしました。
 でも、たいていのことは、子どもの成長とともに変わっていきました。あれほど熱中していた「あのこと」はどうしちゃったの?今度は「それ?」みたいな感じで。

 ウチの娘も小学生の時は、「古生物学」→「海洋科学研究」→「宇宙科学研究」と興味の対象が推移し、それぞれそれらの(子ども向けの)専門機関で学ぶ機会を得て、その分野の第一線で活躍なさっている教授や研究者の方から(子ども向けの)教えを受けることができました。
 従って私達親は、「もうこれは、絶対学者さんになるんだねー^^」なんて思っていましたw 本人も本当に楽しそうに学んでいましたから。

 それが中学生になった頃から、美術(特にイラストやデザイン)や小説を書くことに夢中になって、それなりの仕上がりにできるようになり周りからも好評を得ると、かなりのめり込んでいきました。
 従って今度は「美術系か文系なのかなー。。」と(いきなりの方向転換だったので)戸惑いつつも、私達親は思っていました。

 そうして高校生になり、そろそろ本格的に自分の進路について考えを進めていく段階になって・・・。
 「私は○○の仕事がしたいから、こういう進路をとりたい。」
娘の口から出て来た言葉に、私達は
 「えー?! そりゃまた、どうしてー?」
と、それまで幾つかの変遷を経て『この子はきっと・・・』と親なりにその時点で予想していた類のものと、またまたかなり違っていたので、ポカーンとしてしまいました。

 「だって、それって・・・あなたが苦手な教科が得意じゃないと、マズいんじゃないの?」
マイナス思考とは程遠い私でさえも、思わずそう言ってしまいました。
 「うん。だから、これから頑張るからいいの。」
 「・・・・・。(いや、しかし限られた時間内であの教科の成績を引き上げるのは・・)」
今にも口から出そうな言葉を、グッと呑み込みます。
 「もっと、これまでで自分が得意なこと目指した方がいいんじゃないか?」
とハズ。私も、
 「そうそう。例えば生物なんて、特に試験勉強しなくても成績いいじゃない。向いてる、ってことなんじゃないの?」
と水を向けてみます。進路に反対しているのではなく、本人に一時的に気の迷いが生じて忘れてしまっているのではないか、と心配になったので。
 それに対して娘は、
 「好きなことは確かだけど、就職で困るのイヤだから。私のやりたい仕事に一番メリットがある進路をとることが大事なのよ。この際。」
とのこと。別に「生物」を専攻した女子の就職が困難だ、と決めつけて言っているのではありません。娘が将来つきたい職業とは全く方向性が違う、という意味での言葉です。(念のため。)

 「ふーん。。。」
 「あ、そう・・・。」
 「そうなの。だから高2でとる選択科目はこういうふうになるから」
と前もって早めに渡されていた、選択科目の一覧表に印をつけたものを見せて
 「提出の時には、保護者のサインと印鑑、よろしくネ。」

 それから約1年経ち、今週から高2の第3学期が始まりました。初日に持参する成績表、なんと当日の早朝に見ました。(不真面目な親です。でも自分から見せてくれるの、待ってたんだもの~と、言い訳したりして;)
 そして、本人なりに自分に課した目標に近づこうと努力した形跡が見て取れる結果でしたので(ものすごく気を遣った言い回しになってしまいましたがw)、少し安堵しました。

 娘を見ていると、こう思います。子どもの「やりたいこと」「得意なこと」を伸ばしてあげよう、と親が考えて協力するのは、その結果を期待するのでなければ、とても良いことなのだと。
 勝手に期待していた結果につながらなくて、「あれだけ時間と金と労力を費やしたのに」とか「○○になれると思っていたのに、とんだ期待はずれね」などと考える親は、そうそういないでしょう。(本当に子どもを愛しているのなら。)
 まぁ、ウチのように「なんかいつの間にか、想像していたのと違っちゃったね。でも本人の人生だからね。こちらは応援するしかできないけど、自分で決めたことだから頑張るでしょう。」みたいな感覚で捉える親が殆どだと思います。

 成長期に「自分の興味をめいっぱい喚起された対象に、とことん納得するまで取り組む」という経験をした子どもは、自分の能力や可能性に対して、非常にポジティブになれると思います。
 少しでも平均的になんでもこなせるように、苦手なことを克服することばかりを他からの圧力で強いられたならば、きっと自信を喪失して、自分のことをネガティブに捉えるようになるかも知れません。
 それに、それぞれ学んだり経験したことは、娘の個性を創り上げる要素としてちゃんと現在も息づいていますから、その時その時に成長の糧となっていた、とわかります。
 そのような意味で「とても良いことだ」と思いました。

 そうは言っても、ウチの子も「好きなこと」「やりたいこと」ばかりさせていたわけじゃないですが・・・。
 例えばおけいこにしても、ピアノなどは本人の気が進まずに、ろくに練習しない時期が長く(何年も)ありました。大好きだったジャズダンスは、通学との時間の兼ね合いで続けられず、結局ピアノだけ続けられた、いえむしろ本人にしてみれば続けさせられた、という感じだったと思います。
 でも、素晴らしい先生(私の先生でもあった方ですが)に恵まれて、ピアノを弾くことのみでなく、音楽全般にわたる知識やエピソード、そして音楽を通じての感性の磨き方や自己表現の仕方などを教えて頂くうちに、娘もだんだんと、自身の内なるものと楽器とを共鳴させる面白さに気づいてきたようです。
 最近は、本人も「続けていて良かった」と言っていますし、私が聴いていても「ずいぶん上達したなぁ」と思います。何が好きか得意か、あれこれ様々なおけいこを渡り歩いていたら、きっとこの満足感は得られなかったことでしょう。
 案外、「苦手なこと(教科)でも、諦めなければなんとかなる!」みたいな発想は、この辺りに起因しているのかも知れませんね。

 親から見ると、受験に対してなどもまだまだ考えが甘い気がして心配ですが、例え望んだ結果にならなくても、自分で「私は甘かった。世の中は思い通りにならないこともあるのだ。」と認識できたなら、得難い教訓となるでしょう。(なるべくそうならないで欲しいけど、物事は何でも表裏一体ですから。やっぱりプラス思考で生き抜いていこうっと!)


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ナガサキ

とても素晴らしい記事だと思います。すごく素敵な親子関係、夫婦関係が垣間見えて。

僕は、結婚はしたくないですし、子供も欲しいとは思わないのですが、こういった素敵なお話を伺うと、心が揺らぎます。

またお邪魔しますね^^
by ナガサキ (2006-01-14 11:10) 

パキちゃん

>ナガサキさん 
いらっしゃいませ^^・・・でも、素敵でない時の方が多いですよ、きっと。
善いこと悪いこと、いろいろある中での一コマですから。
(ガッカリさせてしまったなら、すみません;)
三者三様の個性や考え方があって、飽きないことは確かですけどネw
せっかく生きているなら、(もう二度と)大切なものを見失わないで生きていたい、
と思っているだけです^^   どうぞ、また遊びにいらして下さいね!
by パキちゃん (2006-01-14 23:16) 

sei-blog

親のいいなりに習い事をやめた私は(思いっきりやらせてもらいたかったなぁ。続けたかったな~。) と今も自分の少女時代をちょっぴり思い出す事があるので、つい娘には 習いごと・趣味活動に寛容になってしまい、あれもこれもで家計を圧迫しております。でもパキ様のおっしゃる通り、それで何か結果を望まないよう心しなくては と思います。
by sei-blog (2006-01-15 17:14) 

パキちゃん

>seiさん
私も自分が親になって、思い当たるフシがあります。
子どもには計り知れない親の様々な思惑により、かなえてあげたくても希望通りにいかないことありますもの。
でも子どもが自ら、「より上手になりたい」「向上したい」と自分の力を信じて取り組む姿は、瞳も輝いて生き生きしていていいですよネ!
by パキちゃん (2006-01-15 22:55) 

若い頃は、若い頃に限らずかな、いろんな分野に興味関心を持っていろんな可能性にチャレンジできればいいな。人生に幅が出来て、素敵ですよね。
それにしても、お嬢さん多才ですね!!

息子は中3で将来の進路を決めました。違っていたら(適性がなかったら)という心配はあります。そうなったら、その時点で軌道修正すればいいかな。
失敗も、回り道も、子ども達にとっては学び。
親がジタバタしても始まらない。そう思うことにしています。
by (2006-01-18 11:13) 

パキちゃん

>プリンちゃん
せっかく褒めて頂いて何ですが、多才というより気が多いのかなぁ・・・;^^
でも気の済むまでやってみて、一つずつ自分の引き出しが増えるのを楽しんでいるようです。
「失敗も、回り道も・・・」本当に私も、そう思います。
by パキちゃん (2006-01-19 07:20) 

お散歩爺

全くその通りと思います。
卓球の愛ちゃんみたいに半無理強いして教育する場合もありますが
その人の能力を把握した上で、なんでしょうけれどね。
※ もう何回も訪れましたが、その都度セキュリテイに引っ掛かるにので
   戻っていましたが、解決したようでよかったですね。もうOKです。
  
by お散歩爺 (2006-01-20 09:08) 

パキちゃん

>旅爺さん   きっと、こちらの問題だったのでしょうね;
お知らせ頂いた現象が発生しだした頃が、ちょうどhtmlタグをゴチャゴチャさわっていた時と重なるので調べてみましたが、原因を突き止めるに至らず、とりあえずそれ以前の状態に戻してみました。
何度も足をお運び頂いたとのこと、ごめんなさい。お手数をおかけしました。
そして、ありがとうございます^^

「サァ~ッ!!」の愛ちゃんパターンのケースで、
もし途中で子どもの才能ややる気が枯渇した場合、たいへんですよね~。
親もお仕事やめて、それ一本に賭けていたりしてたら、
子どもに掛かるプレッシャーが甚大ですもの。
by パキちゃん (2006-01-20 17:06) 

トム

感心しました、特に娘さんしっかりしすぎてます、これからももしかしたら進路方向が変わるのかもしれませんが、ちゃんと自分の意思で考えて決めていくような印象を受けました。
ネコ温度計消えちゃいましたね。
良かったらセット方法教えてください、文字数制限でセットできませんした。
by トム (2006-01-21 08:54) 

トム

なんか適当に削除したら出来ました。でもあれでよいのかなぁ
by トム (2006-01-21 09:10) 

パキちゃん

>ホシさん   ありがとうございます^^
いろいろ迷いながらも、娘なりに真剣に自分の将来を考えているようです。
先のことはさておき、今のそういう状態が貴重な経験なのでしょうね、きっと。

(「ネコ温度計」は、ただ今ちょっとお休み中で、様子を見てまた貼り付けようかな、と思っています。) 
by パキちゃん (2006-01-22 07:45) 

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