蜉蝣と蜻蛉 [自然]
蜉蝣(フユウ=カゲロウ)は、蜻蛉(セイレイ=トンボ)と同義に使用されることもあり、古来「カゲロウ」とは「トンボ」を意味していたそうです。
では、平安時代中期に藤原道綱の母 によって著された「蜻蛉日記 」を「トンボ日記」と読んでもいいではないか、なんて思ってみても・・・
「トンボ日記」─ なんとも、イメージが違って聴こえます;
私が想い描くトンボ像は、スピード感溢れる飛行とホバーリングしている翅の精巧な動き、そして捕食するハンターとしての洗練されたデザイン、などにより形作られておりまして・・・。
おそらく当時、余程昆虫に詳しい学者さん以外は、カゲロウをトンボと特に区別して認識していなかったのでは、とも思えて来ます。
いつ頃からそれぞれをはっきり区別したのか、きちんと調べたわけではないですが。
ただ、別もの、との意識があれば、最初から別の名前になったでしょうね。
「名づける」とは、そういうことなのでしょうから。。。
トンボ自体には「秋津(あきづ)」という古名が与えられていましたし。
ん?そのように考えると、古人がカゲロウを見てトンボと間違えていたなら、「アキヅ」と呼ばれていても良さそうですが;
では、カゲロウとトンボに明確な区別はついていなかったが、全く同じものだとは考えられていなかった??
昆虫の名としてのカゲロウは、「かげろふ」(「影」を活用させた語「かげる」から発展した自動詞)や「陽炎(かげろう)」の意味にある、「ほのか」「淡い」「ちらつく」→「儚さ」
などのイメージであり、「蜻蛉日記 」の「カゲロウ」は如何にもカゲロウ目などのカゲロウであってトンボを意味する「カゲロウ」とは違・・・・
と、同じところで足踏みしているような文章で、失礼致しました;
この先は、いつかよくよく調べて考えをまとめてから、機会があれば記事にさせて頂きます;
カゲロウ
(体長は10㎜弱で、2本の尾が長い。おそらくコカゲロウ科だと思われる。)
3日前の夕方、我が家の門の一部で(摑まるところも無いのに重力に逆らって)脱皮していました。
不思議です。
渓流は近くにありません。海ならありますけど。
同じ市内のかなり北の方角には、里山として保護されているところがあり、そこには小川や雑木林があります。
毎年ヤンマもこちらまで飛来するので、このコももしかしたら、はるばる風に運ばれやって来たのかも知れません。
訊ねても答えてもらえないので、真相は不明ですけど。
でも、ちょっと待って; カゲロウは幼虫期は水棲のはず・・・。(※)
ど、どうやってここまで飛来できるの?
それにこの抜け殻は幼虫のものともちょっと違うような・・・
実はカゲロウは昆虫の中でも唯一、殆ど成虫と変わらぬ(翅もちゃんとある)姿の「亜成虫」なる独特の過程を経た後、変態を完成させる虫なのです。
ですから向かって右の抜け殻の「亜成虫」の姿でやって来て、どうしてか我が家の門に張り付いて、『もう間に合わない;』と思ったかどうかわかりませんが、その場で最終段階の脱皮を敢行したのでしょうね~;^^
無事に成虫になっても、その短い時間をともに過ごす仲間がここにはいないであろうことを思うと、少し切ない気持ちになりました。
見つけたのは、脱皮してある程度時間が経ってからだったらしく、撮影後暫くすると飛んで行きました。
ちらちらと幻惑させるが如くにその翅を閃かせ、すぅっと景色に溶けていくさまは、まさに蜉蝣。。。
ショウジョウトンボ
(アキアカネよりも大きく、全身美しい赤。)
トンボの赤さにも、バラの花の枯れ朽ち具合にも、「秋」を感じるこの頃です;^^
※カゲロウ目とは異なる種のアミメカゲロウ目には、ウスバカゲロウの幼虫のように陸棲のものいます。
(アリジゴクの名で有名。)
─ 追記 ─
トンボについて。
上の写真、ショウジョウトンボとしていますが、この時期の(成熟した)ナツアカネの可能性もあることを追記致します。
コメント欄にて春分さんが述べて下さったように、ショウジョウトンボの特徴である翅の付け根の茶色の部分が、これは顕著ではありませんでした。
体長はナツアカネの平均よりも大きかったので、ショウジョウトンボであると判断しましたが、個体差ということを考えると今一つどちらとも言い切れないように思えて来ましたので、そのままをここに記します。
春分さん、アドバイスをどうもありがとうございました^^
9月20日
パキちゃんは昆虫博学博士(?)ですね^^
なるほど・・・ん、なるほど、と最後まで楽しく読んでしまいました。
蜉蝣と聞くと、吉野弘の 『 I was born 』 という詩を思い浮かべます。
ちょっと切ない詩ですが・・・。
ショウジョウトンボの赤い色、きれいですね。
by タックン (2006-09-18 20:57)
>タックンさん nice!&コメントをありがとうございます^^
と、とんでもございません、不思議だらけで面白いなぁと感心しているだけでして^^;
>吉野弘の・・・それはどのような詩なのでしょう。いろいろ想像しています。
やはり儚さを感じさせるのかしら・・・と。
by パキちゃん (2006-09-19 00:49)
子供の頃よく見たカゲロウ懐かしく拝見しました
すっかり忘れていた昆虫です。
機会があれば昆虫のことまた教えて下さい。
by (2006-09-19 06:44)
>g_g さん nice!&コメントをありがとうございます^^
川辺でもなく、むしろ門の向こうは道路で人も車も行き交っている、とそのような中
一匹人知れず(のつもりで)脱皮していたようでした。
g_g さんにお教えするなど、おこがましいです;未(無)知のことだらけなんです、ほんとに^^
by パキちゃん (2006-09-19 07:42)
カゲロウとトンボが同じ!?とはね。
奥が深い!う~~~ん!
カゲロウとトンボの時期って同じなのでしょうか?
ウスバカゲロウくらいしか知らない私です。(>_<)
トンボの赤が鮮やかですね。
by (2006-09-19 09:59)
今まで、気づきませんでしたが
「かげろう」を漢字変換すると出てきますね@蜉蝣と蜻蛉
どうして此処で?と思う様な場所で、脱皮している事ってありますね^^
そんな事を見つけた時って、何となく嬉しくなりませんか?
by (2006-09-19 11:45)
カゲロウの説明文に「成虫は柔かくてよわい」とかいてありました。
なんてわかり易い説明文でしょうね。
あまり深く考えてみたこともなく…。
カゲロウを漢字で書くとき蜉蝣よりも蜻蛉と書きたい気がしますが、カゲロウの姿を知っている身としては蜉蝣かなぁとも思います。
by 畑の帽子 (2006-09-19 13:00)
>風子 さん nice!&コメントをありがとうございます^^
成虫となって我々の目にとまる時期は、だいたい同じ頃(初夏~秋)です。
どう見ても同じにはみえないのですが、雅な方達は両者を比べてじっと観察する
なんて機会があまりなかったのかも知れませんね^^ トンボ、まっかっかでしたw
by パキちゃん (2006-09-19 16:40)
>ki_no_koさん nice!&コメントをありがとうございます^^
羽化後でしたが、滅多にお目にかかれない場面ということで、やはり嬉しいですね^^
でも首を捻ったのも事実でして~;
止むに止まれぬ事情があったのでしょうが、「なにゆえココで?」と思いました。
by パキちゃん (2006-09-19 16:55)
>畑の帽子さん nice!&コメントをありがとうございます^^
そうですね、蜻蛉の方が音もキレイで字面も馴染みがあるせいか落ち着きますよね。
ただ飛ぶ姿を思うと、私も蜉蝣が言い得ているようにも思います。
カゲロウは短命との印象ですが、あのテの昆虫の中では然程でもないのですよ^^
by パキちゃん (2006-09-19 17:01)
おもしろいですね。いろいろネタをお持ちですね。
カゲロウは毛ばりに似てますね。というか毛ばりがカゲロウのマネですね。
ショウジョウトンボとあるのは、成熟したナツアカネではないですか?
ショウジョウトンボは翅の根元に色がついているのかと。個体差なのかなぁ?
by 春分 (2006-09-19 23:24)
>春分さん nice!&コメントをありがとうございます^^
フライという、アレですネ。食べるところ少なそうですが、魚には美味なのでしょうか・・・
トンボは、どちらかなぁ、と思いました。これも翅の付け根が少し茶色なのですが、
ちょっと薄過ぎて; とりあえず体長が50㎜はあったので、ショウジョウと見ました。
(だんだん自信無くなって来ました~;^^)
by パキちゃん (2006-09-19 23:56)
記事末にトンボについての「追記」を加えました。
再訪問下さった方に御覧頂けましたら嬉しく思います^^
by パキちゃん (2006-09-20 00:35)
カゲロウって、あまり見かけません。
田舎ですから、いるはずなんですが...
勉強になりました^^
by (2006-09-20 14:36)
蜉蝣も蜻蛉もそのようなお話を聞くと、また違って見えてきますね。
でも実物の「虫」がどうしようもなく苦手な私としては、「飛んでいる」だけで、大騒ぎしてしまいそうです(^^;)
映像で見ると綺麗だな〜と思えるのですけどね。
by eritaro (2006-09-20 20:50)
カゲロウの季節かなあ?近くの橋の照明に大量のカゲロウが集まり
時々車の事故があります。
地面に落ちた大量の(道路を埋め尽くすほど)カゲロウでスリップ
事故が・・・もうそんな季節なんですねえ!
by (2006-09-21 06:27)
>シンナツさん nice!&コメントをありがとうございます^^
あまり見かけない、とのお話、ちょっと意外な気がしました。不思議ですね;
もし見かけられた時は、○ヶ崎のとある家の門で脱皮したカゲロウがいたことを
思い出してやって下さい^^
by パキちゃん (2006-09-21 08:05)
>eritaroさん nice!&コメントをありがとうございます^^
写真や映像ならば、とのことでしたら、ここの記事で取り上げても大丈夫なのですね?
(良かった~w)
私は、子どもが興味をもったために鍛えられ、そのうち『面白いなぁ』と^^
by パキちゃん (2006-09-21 08:24)
>にの♪さん nice!&コメントをありがとうございます^^
ギョギョッ ((((((°°;) そ、そんなにですか~ぁぁ?!
それはもはや「儚い」などというイメージからかけ離れていて、遠慮したくなる図ですね;
カゲロウ、と聞いて思い浮かぶイメージの種類が増えました~;あ、ありがとうございますw
by パキちゃん (2006-09-21 08:27)
>ホシさん nice!をありがとうございます^^
by パキちゃん (2006-09-21 08:29)
おー、脱皮シーンとは珍しいです^^ 川は近くになくても、自然がまだ残っている証拠なんでしょうね。
トアキアカネも綺麗な赤をしています!大丈夫ですよ、食べませんからネ^^
by たらこ太郎7 (2006-09-22 19:04)
>たらこ太郎7さん nice!&コメントをありがとうございます^^
人と車と建物と自然とが、微妙なバランスで均衡を保っているところです、ここら辺りは。
トンボは、食べるとちょっと苦いそうですよ~。
ハズが子どもの頃、山で遊んでお腹が空いて、捕まえてかじったことあるそうです;(ワイルドw)
by パキちゃん (2006-09-22 21:54)
はじめまして。。。。
蜻蛉という字に引っ張られ、読みいってしまいました。
普段から自然観察されているみたいで。
面白いです。
by (2006-10-15 10:42)
>ゆきさん 初めまして、nice!&コメントをありがとうございます^^
時々身近にある自然を取り上げては、皆さんに教えて頂きながら楽しんでおります。
ゆきさんにも楽しんで頂けて、嬉しく思います^^
by パキちゃん (2006-10-15 15:34)